社員に求める前に、まずは自分が学ぶ ~50代半ばで資格取得に挑んだ石﨑社長の経営判断~

「おうちPARK・経営の記録」では、創業から現在までの歩みを、単なる沿革や思い出としてではなく、一つひとつの判断の積み重ねとしてたどります。その時、何を考え、何に迷い、何を大切にして決めてきたのか。経営の言葉を通じて、おうちPARKグループらしさの源泉を記録していきます。

1.なぜ、経営者自身が学び続けるのか

おうちPARKグループの代表を務める石﨑社長は、50代半ばとなった現在も、自ら学び続けています。
経営者として長年の経験を積んだ今、なぜ改めて資格取得にまで挑戦するのでしょうか。

その原点は約30年前、前職で店長や常務取締役を務めていた頃の経験にあります。
当時、自ら営業成績を上げていた石﨑社長は、その働き方を客観的に見つめる中で、一つの課題を感じました。
それは、特定の営業マンの能力や経験に依存する、属人的な仕事の進め方です。
優秀な営業マンが成果を上げることは会社にとって大きな力になります。
しかし、その人がいなければ成果が上がらない組織では、安定した業績を維持することは難しくなります。
中小企業が継続的に成長するためには、個人の能力だけに頼らず、組織として成果を生み出す仕組みが必要だと考えました。
「誰が担当しても、安定して売り上げを上げられる組織をつくりたい」。
この思いが、石﨑社長の学びの原点となりました。

石﨑社長は20代の頃から経営者向けの月刊誌で学びを重ねました。こちらは31年前に勉強していた経営誌です。

個人の努力や経験に頼るのではなく、お客様や市場を理解し、組織として成果を上げる方法を考える。
そのために、マーケティングをはじめとする経営に必要な知識を学び始めました。
経営者となった現在も、その考え方は変わっていません。
社会情勢や法制度、お客様の価値観など、経営を取り巻く環境は変化し続けています。
過去の成功体験だけでは、適切な判断ができるとは限りません。
また、経営者の判断は、会社の業績だけでなく、社員の働き方や生活、その家族にも影響します。

だからこそ、社員に学びや成長を求めるのであれば、まず経営者自身が実践しなければならない。
自分一人が成果を上げることから、組織全体で成果を上げることへ。
その考えを実現するために学び続ける姿勢は、現在の経営にも受け継がれています。


2.50代半ばで資格取得へ挑んだ理由

近年は、働き方や法令順守への社会的な要請が高まり、長時間労働や個人の経験に頼らず、限られた時間で安定して成果を上げる組織づくりが求められています。
また、お客様のニーズが多様化する中、自社が提供する価値を見直し、選ばれる理由を明確にする必要もあります。
こうした変化に対応するため、石﨑社長は、これまでの経験に加え、専門的な知識を改めて体系的に学ぶことを選びました。

挑戦したのは、パブリックリレーションズに関する「公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会認定の准PRプランナー」と、マーケティング・ブランディングに関する「公益社団法人日本マーケティング協会認定のアドバンスマーケター」の資格です。
パブリックリレーションズは会社と社会や関係者との信頼関係を考える分野、マーケティング・ブランディングはお客様や市場を理解し、自社が提供する価値を考える分野です。
いずれも企業の方向性を考えるうえで重要な知識です。

経営者として日々の業務を担いながら、試験勉強の時間を確保することは容易ではありません。
それでも石﨑社長は学習を重ね、試験前日には12時間以上にわたって勉強に取り組みました。
経営者であっても、試験では一人の受験者です。
これまでの実績や役職ではなく、自ら身につけた知識が問われます。
50代半ばになっても、新たな知識を学び、試験に挑戦する。
その行動には、年齢や立場に関係なく学び続け、得た知識を経営へ生かそうとする石﨑社長の意思が表れています。


3.学んだことを、経営判断へ生かす

石﨑社長が資格取得を通じて目指しているのは、資格の数を増やすことではありません。
学んだ知識を経営に生かし、判断の質を高めることです。
マーケティング・ブランディングやパブリックリレーションズを体系的に学ぶことで、市場環境やお客様のニーズを捉える視点が広がり、経営判断の選択肢も増えていきます。

その学びを生かした取り組みの一つが、計画的な採用活動です。
おうちPARKグループは、新卒採用を計画的に進め、2年連続で6月頃には翌年度の新卒採用予定人数を確保しています。
必要になってから人材を採用するのではなく、将来の組織体制を見据えて計画的に採用を進めることが、安定した事業運営につながります。

また、経営方針の策定と実行管理にも変化が生まれています。
石﨑社長は、学びを重ねる中で、経営方針を策定する力が高まったと感じています。
現在は、策定した方針を発表して終わりにせず、毎月の役員会議で進捗を確認し、実行につなげています。
掲げた方針が実際の行動や成果に結びついているのか。計画どおりに進んでいなければ、その状況を把握し、次の取り組みにつなげていきます。

こうした積み重ねによって、方針を実行できる組織へと変化しつつあります。
石﨑社長自身、まだ完璧ではないとしながらも、「言行一致した組織」に近づいていると感じています。
さらに、ニュースルームでの情報発信も、会社と社会との関係を考える取り組みの一つです。
商品やサービスだけでなく、社員の成長、協力会社との関係、地域での活動、経営判断の背景などを発信し、お客様や社員、協力会社、地域社会との相互理解を深めることを目指しています。
学んだ知識を計画に変え、計画を行動に変え、その行動を成果につなげる。
石﨑社長が重視しているのは、学びを経営の実践に結びつけることです。


4.行動で示すことが、学ぶ文化をつくる

経営者が自ら学び続けることには、もう一つの意味があります。
それは、社員に求める姿勢を、経営者自身が行動で示すことです。
石﨑社長は、社員にだけ学びを求め、自分は過去の経験だけで判断すればよいとは考えていません。
実際に、石﨑社長の資格取得後には、役員が3人もマーケティング関連の資格を取得しました。
経営者自身が新しいことに挑戦する姿は、役員や社員にとっても、学び続けることの大切さを考えるきっかけになります。

一方、おうちPARKグループは、資格手当などの制度を通じて、社員の学びや挑戦を支援しています。
前回の「経営の記録」では、社員の資格取得を支援し、共に学ぶ社風を育んできた歩みを紹介しました。
今回の石﨑社長自身の挑戦は、その文化を経営者の立場から支える取り組みといえます。
経営者が率先して学び、会社が社員の挑戦を制度で支える。
この二つがそろうことで、学ぶことは一部の社員だけの取り組みではなく、組織全体で大切にする価値観へとつながっていきます。

社員が知識や能力を高めることは、お客様への提案の質やサービスの向上にもつながります。
経営者の学びは、経営者個人の成長だけで完結するものではありません。
学びを経営判断に生かし、社員の成長を支え、お客様や協力会社、地域社会との信頼関係を積み重ねていくことに意味があります。

「社員に求める前に、まず自分が学ぶ」。

50代半ばで資格取得に挑戦した石﨑社長の行動は、学び続けることを経営者自身の責任として選んだ、一つの判断の記録です。
その姿勢は、これからのおうちPARKグループが、変化する時代の中でも学び続け、成長していくための土台となっています。

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