おうちPARK・経営の記録③

人を育てることが経営の中心へ
「おうちパーク・経営の記録」では、創業から現在までの歩みを、単なる沿革や思い出としてではなく、一つひとつの判断の積み重ねとしてたどります。その時、何を考え、何に迷い、何を大切にして決めてきたのか。経営の言葉を通じて、おうちパークグループらしさの源泉を記録していきます。
売り上げや店舗数だけでは、会社は強くならない
会社を成長させるために必要なものは何か。
売り上げを伸ばすこと。店舗を増やすこと。商品やサービスを磨くこと。
もちろん、どれも重要です。
しかし、おうちPARKグループが創業から歩みを進める中でたどり着いた答えは、それだけではありませんでした。
どれほど良いサービスを用意しても、それを届けるのは人です。
どれほど立派な理念を掲げても、それを実践するのも人です。
会社の成長を支えるのは、結局のところ「人」である。
当時の石崎社長は、お客様の期待に応える住宅会社でありたいという想いを持ちながらも、ある変化を感じ始めていました。
それは、「期待に応える」だけでは十分ではないということでした。
「期待に応える」から「期待を超える」へ
住宅購入は、多くのお客様にとって人生で最も大きな買い物の一つです。
だからこそ、お客様は様々な期待や不安を抱えながら来店されます。
希望通りの家が建つだろうか。
安心して任せられる会社だろうか。
家族の未来を託しても大丈夫だろうか。
当時のおうちPARKグループは、お客様の期待に応えられる住宅づくりを目指していました。
しかし、石崎社長は次第にこう考えるようになります。
「本当に目指すべきなのは、期待に応えることではなく、期待を超えることではないか。」
住宅そのものの品質だけではありません。
接客。提案。気配り。アフターフォロー。
お客様が想像していた以上の感動や安心を提供できた時、本当の意味で信頼される会社になれる。
その考えは、やがておうちPARKグループの人材育成方針へとつながっていきました。
目指したのはリッツ・カールトンのような接客
もちろん、現状のままでも経営に大きな問題はありません。当時は既に売上高10億円の壁を突破しており、人材育成方針を大きく変えなくても、経営し続けることはできました。
しかし、石崎社長が理想として掲げたのは、世界的なホテルブランドとして知られるリッツ・カールトンの接客でした。
お客様の言葉だけを聞くのではなく、その背景にある想いや期待まで理解する。
マニュアル通りの対応ではなく、一人ひとりに合わせたサービスを提供する。
「そこまでしてくれるのか。」
そんな感動を生み出せる人材を育てたい。
それは住宅業界の常識から見れば、決して簡単な目標ではありませんでした。
なぜなら、住宅業界では商品力や価格競争が重視される場面も多く、人材育成への大きな投資は短期的な成果が見えにくいからです。
それでも石崎社長は、人材育成こそが会社の未来をつくると考えました。
そして、その考えを実現するための大きな決断を下します。
多くの反対の中で下した決断
当時、石崎社長が検討したのが、教育システムに定評のあるセンチュリー21への加盟でした。

センチュリー21には営業教育や接客教育、マネジメント教育など、体系的な人材育成の仕組みがあります。しかし加盟には費用もかかります。また、それまでのやり方を変える必要もあります。
当時、多くの社員から反対の声が上がりました。
「本当に必要なのですか。」
「そこまで教育に投資する意味があるのですか。」
「顧客が増え、売り上げも伸びているので、今のやり方で十分ではないか。」
客観的にみると、社員からの意見は当然のものだとも考えられます。
石崎社長も、社員たちの不安を理解していました。
教育への投資は、すぐに売り上げとして返ってくるものではありません。加盟にかかる費用もあり、こ
れまでのやり方を変える負担もあります。現場で働く社員からすれば、「今のままでも成長できている
のではないか」と感じるのは自然なことでした。
それでも石崎社長は、短期的な効率だけを優先すれば、会社の成長はいずれ止まると考えていまし
た。
現状維持は衰退の始まりである。理想を高くもち、よりお客様に信頼される会社をつくりたい。
お客様の期待を超える会社になるためには、商品や店舗だけでなく、人そのものが成長し続ける必要がある。
会社の未来を考えた時、最も重要な投資先は人である。
その考えを幹部や社員に伝えながら、教育への投資を会社の未来に必要な判断として位置づけてい
きました。
そして最終的に、センチュリー21加盟へ踏み切りました。

結果として、この判断はおうちPARKグループの人材育成の基盤づくりにつながっていきます。
センチュリー21加盟によって教育の仕組みを取り入れた後、石崎社長の関心は、さらに「自社の価値
観を共有できる人材を、入口から育てること」へと向かっていきました。
新卒採用という未来への投資
人材育成への想いは、新卒採用にも表れていました。
2012年、おうちPARKグループは新卒採用をスタートします。
採用したのは5人。
当時としては決して小さな挑戦ではありませんでした。
新卒社員は即戦力ではありません。
教育には時間も労力もかかります。
しかし、自社の価値観や理念を共有しながら育てることができるという大きな魅力があります。
その5人の中には現在、常務取締役を務める猪爪常務もいました。
猪爪常務の成長が示したもの
猪爪常務は入社後、営業として着実に成果を積み重ねていきました。
お客様から信頼を獲得し、営業成績でも実績を上げ、次第に頭角を現していきます。
そして入社4年目には石崎社長や幹部メンバーとともに経営改善や業績向上を学ぶ研修へ参加するようになります。
若手社員でありながら、経営的視点を学ぶ機会を得たのです。
これは単に優秀な社員を抜擢したという話ではありません。
年齢や社歴に関係なく、可能性のある人材に成長機会を与える。
その文化が少しずつ根付き始めていた証でもありました。
猪爪常務は当時の体験を「私が社長であれば、経営者・経営幹部が集まる研修会に当時20代半ばであった私を連れていくことはしません。研修費用がかかりますし、現場で仕事をしていた方が売り上げにつながります。世の中の多くの社長はそのように考えると思います。ですが、石崎社長は会社の未来を考え、私に成長の機会を与えてくださいました。このことは今でも感謝していますし、石崎社長の器の広さがあって、今の私がいることを深く実感しています」と振り返っています。
これは、特定の一人を特別扱いしたということではありません。
可能性のある人に早い段階から機会を渡し、経験を通じて育てるという考え方が、少しずつ会社の中
に根づいていった出来事でした。
人を信じ、育てる。
その積み重ねが、現在のおうちPARKグループの組織づくりにつながっています。
人を育てることが会社の未来をつくる
振り返れば、この時期のおうちPARKグループは「人への投資」を経営の中心に据える大きな転換点に立っていました。
お客様の期待を超えるためには、期待を超えられる人材が必要です。
そのためには教育が必要です。
そして教育には時間もお金も覚悟も必要です。
短期的な利益だけを見れば、迷う場面もあったかもしれません。
しかし石崎社長は、人を育てることこそが会社の未来をつくると信じました。
その判断は、現在の階層別研修や新入社員研修、幹部育成の取り組みにも受け継がれています。
おうちPARKグループが大切にしているのは、単に住宅を販売することではありません。
お客様の期待を超える価値を届けられる人を育て続けることです。
それこそが、この時代に下された経営判断であり、今もなお、受け継がれ、会社の発展に大きな影響を与え続けているのです。
