大工会の初代副会長は、石﨑社長の高校時代の同級生! ~菅野兼司氏とおうちPARKグループが歩んだ15年~

「おうちPARK・共に創る人」では、職人や協力会社、取引先など、当グループと関わる人に話を伺います。関係がどのように始まり、双方の働き掛けによって何が変わったのかを、一人ひとりの経験と判断、言葉から記録します。
1、大工になる前は、ペットショップと花屋で働いていた
おうちPARKグループと15年にわたり仕事を共にし、大工会の初代副会長として建築現場を支えてきた一人の大工がいます。
有限会社菅野工務店の代表取締役、菅野兼司氏です。
当グループとの関係をたどる前に、まずは菅野氏が大工の道を選んだ経緯を紹介します。
現在も現場の第一線に立つ菅野氏ですが、高校卒業後、すぐに大工の道へ進んだわけではありません。
最初に就職したのは、新所沢にあったペットショップでした。
そしてその後は花屋でも働きました。
一方で、別の仕事をしていた時代も、大工の仕事をしていました。
休日になると、父親が経営する工務店へ行き、大工仕事を手伝っていたのです。
やがて父親の会社に入り、本格的に大工の道を歩み始めます。
一般的には、一人前の大工として一棟の家を任されるまでには、約5年の修業期間が必要です。
しかし、それまで休日を使って現場を経験してきた菅野氏は、父親の会社に入ってから約1年で、一棟を任されるまでになりました。
では、なぜペットショップや花屋ではなく、大工を生涯の仕事として選んだのでしょうか。
菅野氏は、当時を振り返ります。
「父親は口にはしなかったけれど、なんとなく、一緒に働いてほしそうだった。それと、結婚することを考えた時に、家族を養えるだけの収入を、自分の力で得やすい仕事は、大工だった」と話します。
父親への思いと、これからつくる自分の家族への責任。
その二つが、菅野氏を大工の道へと進ませました。
2、おうちPARKグループとの出会いは15年前
菅野氏とおうちPARKグループとの出会いは、2011年ごろ(取材時点で約15年前)にさかのぼります。
きっかけとなったのは、鈴木専務の妻の弟からの紹介でした。
当時のおうちPARKグループは、創業から約6年。
建築事業を成長させていくなかで、現場を支えてくれる職人との関係を広げている時期でした。
一方の菅野工務店には、当時8人ほどの職人がおり、菅野氏自身も「もっと仕事を増やしていきたい」と考えていた頃でした。
紹介をきっかけに、おうちPARKグループの仕事を引き受けるようになります。
そしてある日、菅野氏は新所沢本社で石﨑社長と仕事相手として顔を合わせます。
仕事相手として会ったその人に、どこか懐かしさを感じました。
どこかで会ったことがあるような親近感がある。
二人が最後に顔を合わせてから長い年月がたち、それぞれ年齢を重ねていたため、最初はすぐに気付きませんでした。
しかし、話をしていくうちに、その理由が分かりました。
二人は、高校時代の同級生だったのです。
16歳の頃、同じ学校で過ごした二人が、それぞれ違う道を歩み、経営者と大工という立場で再び出会いました。
偶然の紹介から始まった仕事が、思いがけない再会にもつながったのです。

3、初代副会長として、若い現場監督を支える
2014年12月におうちPARKグループが大工会を発足した際、菅野氏は初代副会長に就任しました。
大工会は安全協力会に入会している職人の中で、大工の仕事をしている会員が安全対策の強化や新しい施工事例の共有のために、集まる会です。
当時のおうちPARKグループには、まだ現場監督としての経験が浅いメンバーも多くいました。
現場をどのような順番で進めるのか。
職人をいつ手配するのか。
設計図を実際の建物へ落とし込むために、どこに注意しなければならないのか。
経験がものをいう建築現場では、図面やマニュアルだけでは分からないことが数多くあります。
菅野氏は、そうした若い現場監督に対して、段取りや施工管理について積極的にアドバイスをしてきました。
大工会の副会長という役割を担いながら、現場で仕事をする職人の立場から、若い現場監督の成長を支えてきたのです。
4、「二級建築士の資格を持つ大工」として
菅野氏には、大工としてもう一つの特徴があります。
「二級建築士」の資格を持っていることです。
現場で培った大工としての技術に加え、建築に関する専門的な知識も身に付けています。
だからこそ、設計図を見るときも、「図面どおりにつくる」という視点だけではありません。
設計士が何を意図しているのか。
実際の現場で、どのように納めればよいのか。
設計と施工の両方の視点から建物を考えます。
当グループは、建築のデザイン性にもこだわっています。
その設計図を基に、自らの技術を使って一つの建物を形にしていくことに、菅野氏は大工としてのやりがいを感じているといいます。
一方で、長年現場に立ってきたからこそ、強く感じている課題もあります。
「設計士と現場監督のコミュニケーションが不足して、手戻り工事が発生する時があります。せっかく施工したところを壊して、また建て直す。これは大工としては一番やりたくないことです」
一度つくったものを、自らの手で壊す
そこには時間や材料の問題だけでなく、職人としての複雑な思いがあります。
だからこそ、設計担当者、現場監督、職人が事前にしっかりと情報を共有することが、良い建物をつくるためには欠かせません。
菅野氏の言葉は、15年間おうちPARKグループの現場を見てきた職人だからこその率直な提言でもあります。

5、納期を守ることは、自分だけの約束ではない
かつて8人ほどの職人を抱えていた菅野工務店ですが、当時働いていた職人はそれぞれに大工としてのスキル・経験を積んで独立しました。
現在は職人を雇うことなく、自分一人で理想の住宅づくりを目指して、日々現場に立っています。
そんな菅野氏が、仕事をするうえで強くこだわっていることがあります。
それは「納期を守ること」です。
一棟の家が完成するまでには、大工だけが仕事をするわけではありません。
電気、水道、屋根、基礎、外壁など、多くの専門業者が関わります。
一棟の住宅を完成させるまでに関わる専門業者は、45社~50社にも及びます。
それぞれの業者が、決められた工程に合わせて現場へ入ります。
つまり、一つの工程が遅れれば、その後に予定されている多くの仕事にも影響します。
大工の仕事が予定どおり終わらなければ、次の職人が現場に入れないこともあります。
だから菅野氏にとって、納期は単なる「会社から指定された期限」ではありません。
自分で決めた仕事をやり切るという、自分自身との約束です。
そして、次に現場へ入る専門業者との約束でもあります。
自分の仕事だけを見ていては、一棟の家は完成しません。
次に仕事をする人のことまで考えて、自分の役割を果たすという考え方が必要です。
それが、長年現場に立ち続けてきた菅野氏の仕事に対する姿勢です。
