「競わせる」より「育てる」を選んだ理由

「おうちPARK・経営の記録」では、創業から現在までの歩みを、単なる沿革や思い出としてではなく、一つひとつの判断の積み重ねとしてたどります。その時、何を考え、何に迷い、何を大切にして決めてきたのか。経営の言葉を通じて、おうちパークグループらしさの源泉を記録していきます。
1、個人で競う会社ではなく、共に学ぶ会社へ
今から約25 年前、石﨑社長が不動産会社で働いていた頃、不動産業界に存在する「情報やノウハウを個人で抱える文化」や「学ぶことより目先の営業を優先する文化」に違和感を覚えていました。
優良物件情報は、同じ会社や部署の仲間にも共有しない。
営業ノウハウや商談の進め方も教えない。
社内で働く仲間であっても、自分以外はライバル。
勉強や資格取得よりも、目の前の営業を重視する。
石﨑社長自身、「勉強するくらいなら仕事をしろ」と叱られている社員を目にしたこともあったといいます。
実際に石﨑社長が創業前に勤めていた不動産会社にも、そのような企業文化がありました。
会社の幹部社員として働きながら、石﨑社長の中には迷いがありました。
個人の力を競わせる方が、短期的には成果が分かりやすいかもしれない。
しかし、情報や経験が一人の中にとどまれば、人は育たず、会社全体の力も高まらない。
「個人プレーの集団ではなく、チームで仕事をした方が、会社として大きな成果を出せるのではないか」
そう考えた石﨑社長は、2005年3月の創業以来、情報や知識を共有し、互いに学び合いながら仕事を進める会社づくりを続けてきました。
2、社員が去っても、方針は変えなかった
個人ではなく、チームで成果を上げる組織をつくろうと、会社を創業した石﨑社長でしたが、この方針が最初から全員に受け入れられたわけではありませんでした。
「学校にいるようで、会社で仕事をしている感じがしない」と言い、会社を去った社員もいました。
自分が目指す組織のあり方は、本当に正しいのか。
従来型の不動産会社の方が、営業社員にとって働きやすいのではないか。
そのような葛藤がありながらも、石﨑社長は方針を変えませんでした。
優先したのは、一部の個人だけが成果を上げることではなく、社員が互いに成長し、お客様へ安定して質の高いサービスを提供できる組織をつくることでした。
現在、グループ3社が連携し、不動産の購入・売却、注文住宅、リフォームまで一体となってお客様を支えられるのも、この「チームで成果を出す」という判断の延長線上にあります。
3、考え方を仕組みに変える
確かに、目の前の営業活動に時間を使えば、すぐに売り上げにつながる可能性があります。
一方、勉強や資格取得は、成果が表れるまでに時間がかかります。
会社が費用や時間をかけても、取得した知識をもって社員が退職してしまう可能性もあります。
それでも石﨑社長は、目先の効率より、お客様に対して正しい情報を届けることを優先しました。
現在のおうちPARKグループは、学ぶことが日常の一部となり、多くの社員が資格取得に挑戦しています。
現在、おうちPARKグループでは97人の社員が働いています。
宅地建物取引士35人、1級建築士3人、2級建築士9人など、それぞれの業務に応じた資格取得を進めており、資格保有者は延べ59人です。
今年は10月18日の宅地建物取引士試験に向けて、15人の社員が業務と並行して勉強を続けています。
資格手当をはじめとした取得支援も、その姿勢を制度として表したものです。
学びを重視することは、社員の成長だけでなく、お客様により正確な情報を届けるためにも大切だと考えています。
4、石﨑社長自身の経験から生まれた奨学金支援制度
石﨑社長自身、学生時代にお金の面で不自由な経験をしました。
母子家庭で育ち、高校の学費は母が借金をして支払ってくれていました。
現在は奨学金制度が広く利用されていますが、貸与型の奨学金を利用した人の中には、社会人になった時点から返済を始める人もいます。
一方で、学費や生活費を家族に負担してもらい、奨学金の返済負担がない状態で社会人生活を始める人もいます。
本人の努力とは別のところで、新社会人の出発点には違いがあります。
自身の経験から、「社会人になったら、自分で稼いだお金をできる限り自分の成長や生活のために使ってほしい」という思いをもっていました。
その思いを制度として形にしたのが、2022年に始めた奨学金支援制度です。
この制度導入を石﨑社長が提案した時には「同じように仕事をしているのに、奨学金の返済が必要な人だけお金をもらえるのは不平等だ」という声も一部の社員からあがりました。
それでも、石崎社長は全社員に対して、制度導入の趣旨と自身の経験を伝えて、社員に納得してもらうかたちで、制度導入に踏み切りました。
奨学金支援制度を設けることは、会社にとって継続的な負担を伴います。
それでも、この制度を選んだのは採用上の印象を良くすることを目的としたものではありません。
これから社会人として歩み始める若手社員の生活を、会社として支えたいと考えたのです。
2026年9月現在は16名の社員がこの制度を利用しています。
社員が安心して働き、学び、将来に向けて一歩を踏み出せる環境をつくる。
それもまた、「人を育てること」を会社として支える取り組みの一つです。
5、変わらない判断軸
約25 年前、不動産会社で働いていた石﨑社長が感じた違和感から始まったのは、「人を競わせるだけの会社にはしない」という判断でした。
情報を共有する。
共に学ぶ。
成長するための時間や費用を会社が支える。
若い社員の新しい生活のスタートも支える。
形は変わっても、その根底にある考え方は変わっていません。
人を育て、その人が持つ力を会社全体の力へ変えていく。
その判断の積み重ねが、現在のおうちPARKグループの組織文化につながっています。
