おうちPARK 経営の記録⑤

「おうち PARK・経営の記録」では、創業から現在までの歩みを、単なる沿革や思い出としてではなく、一つひとつの判断の積み重ねとしてたどります。
その時、何を考え、何に迷い、何を大切にして決めてきたのか。経営の言葉を通じて、おうちパークグループらしさの源泉を記録していきます。
今回取り上げるのは、おうち LABO の家づくりを特徴づける「1人ワンストップサービス」です。
この取り組みに挑戦した背景には、競合他社との厳しい戦いの中で猪爪常務が見つけた、おうち LABOだからこそ提供できる価値と、人を育てることへの強い想いがありました。
大手と競い合う中で見えてきた、おうち LABOらしい価値
前回の記事では、鈴木専務の入社と、おうち LABO の立ち上げ、そして「建築士が営業する」という新しいスタイルが生まれた経緯をご紹介しました。
建築の専門知識を持つ建築士が、お客様と直接向き合い、住まいづくりを提案する。
この考え方は、おうち LABO の大きな特徴となりました。
しかし、事業を成長させていく道のりは決して平坦ではありませんでした。
2014年頃、スーモカウンターから紹介されるお客様との接客では、大手ハウスメーカーや地域ビルダーのトップセールスと競い合う機会が数多くありました。
会社の規模やブランド力、組織体制はもちろん、営業力や設計力、デザイン力においても、当時のおうち LABOには「これなら大手に勝てる」と言い切れる武器は決して多くありませんでした。
お客様の声が、「1人ワンストップサービス」の原点になった
「どうすれば、お客様に選んでいただけるのか…」
猪爪常務は、その答えを探し続けました。
そして、猪爪常務がどうすれば、お客様に選んでいただけるのかの答えを探し続けて半年ほど経った頃、お客様との会話を重ねる中で、繰り返し現れる共通点に気づきました。
お客様から繰り返し聞かれたのは、住宅会社の担当者とのやり取りに対する不安や不満でした。
「家づくりの進め方がよく分からない」
「営業と設計で話が違う」
「担当者によって言うことが違う」
「聞きたいことがあるのに、誰に相談すればいいのか分からない」
そうした声を聞く中で、猪爪常務は一つの確信を持ちました。
会社の規模や知名度では及ばなくても、担当者一人ひとりの価値を高めることができれば、お客様に選んでいただける。この考えこそが、「1人ワンストップサービス」の原点となりました。
猪爪常務の入社4年目に当たる2015年頃、まずは猪爪常務が自ら「1人ワンストップサービス」の実践を始めました。

「この人に相談すれば大丈夫」と思える存在を目指して
「この人に相談すれば大丈夫」と思える存在になる。
家づくりは、間取りやデザインだけを考える仕事ではありません。
土地探しから始まり、資金計画、住宅ローン、建築法規、性能・構造、インテリア、アフターメンテナンスまで、お客様の悩みは一つひとつが密接につながっています。
住まいづくりには、設計、資金計画、住宅ローン、土地探しなど、複数の専門分野が関わります。
住宅業界では、営業担当者が窓口となり、内容に応じて設計担当や金融機関、不動産会社などへ引き継ぐケースが一般的です。
一方で、専門性を生かせる一方で、担当者が変わるたびに、お客様が同じ説明を繰り返したり、情報共有のズレが生じたりすることもあります。
一人が最後まで伴走する、新しい住まいづくりのかたち
そこで猪爪常務が目指したのは、住まいづくりに関する幅広い相談を、おうち LABO の担当者一人が一貫して担い、最初のご相談からお引き渡しまで伴走できる仕組みでした。
土地のことも分かる。
お金のことも分かる。
建築のことも分かる。
現場のことも分かる。
だからこそ、お客様は「誰に相談すればいいのだろう」ではなく、
「この人に相談すれば大丈夫。」
そう思える安心感を持つことができます。
一人が窓口になることで、お客様は何でも相談しやすくなり、情報伝達のズレも少なくなる。
そして、お客様の想いを最初から最後まで一人が理解し続けることで、より本質的な提案が可能になると考えました。
あえて難しい道を選んだ理由
ただし、この仕組みを形にするのは容易ではありませんでした。
一人の担当者が窓口となり、必要に応じて専門家と連携しながら、最初の相談から引き渡しまで一貫して伴走する。そのためには、住まいづくりに関する幅広い知識と経験が必要です。
当時のおうち LABOには現在のような組織がなく、まずは猪爪常務自身が、住まいに関するあらゆる相談に応えられる担当者になることから始めました。
ただし、猪爪常務が目指したのは、自分だけができる属人的なサービスではありません。自らの経験を整理し、新たに入社するスタッフも段階的に学び、成長できる道筋をつくることでした。
おうち LABOは、資格取得支援や建築雑誌の定期購読などの費用面の投資に加え、猪爪常務との同行営業や接客前のミーティングなど、育成に必要な時間も惜しみませんでした。

こうした取り組みを重ね、2018年頃には、新たに入社したスタッフが同じ考え方を学び、成長できる道筋が形になっていきました。
お客様の「言葉」ではなく「想い」をカタチにする
家づくりでは、お客様の希望が最初からすべて言葉になっているわけではありません。
打ち合わせを重ねる中で、本当に大切にしたい暮らし方が見えてくることがあります。
長く寄り添い、一緒に悩み、一緒に考える。
その時間を共有するからこそ、お客様が本当に大切にしているものを理解することができます。
さらに、建築士自身がお客様の想いを直接受け止めることで、その想いを設計へ反映することができます。
「なぜ家を建てたいのか。」
「どんな暮らしを実現したいのか。」
その背景まで理解した人が設計するからこそ、図面にはお客様の暮らしや人生が反映されます。
猪爪常務は、そこに建築士が最前線でお客様と向き合う本当の価値があると考えました。
猪爪常務が考える「建築家」とは
猪爪常務が「1人ワンストップサービス」に込めた想いは、顧客満足だけではありません。
もう一つの大きな目的は、人材育成でした。
営業を知る。
設計を知る。
インテリアを知る。
資金計画を知る。
住宅ローンを知る。
現場を知る。
こうした幅広い経験は、スタッフにとって一生の財産になります。
猪爪常務が考える「建築家」は、意匠性の高い図面を描く力に加え、土地の資産価値や、お客様の経済状況、将来のライフプランまで理解する人です。
家を建てることを決めた背景や、家族構成、将来の暮らしまで想像し、お客様の人生を見据えて住まいを提案する。そのすべてを設計へ反映できる人を、おうち LABOが目指す「建築家」と捉えています。
中小企業だからこそ、人の価値を競争力にする
会社の規模や知名度で、大手と同じ条件をもつことは容易ではありません。
大手と同じ条件を追うのではなく、自分たちらしい価値を磨き続ける。
人が学び、人が成長し、人が経験を積む。
そして、お客様から「この人だから任せたい」そう思っていただける担当者を育てること。
それこそが、中小企業だからこそ磨くことのできる、大切な強みであり、おうち LABOの競争力だと猪爪常務は考えました。
少なくとも2015年頃、建築士が最初の相談から引き渡しまで一貫して担当するスタイルは、住宅業界では一般的ではありませんでした。
だからこそ、このスタイルがおうち LABOならではの独自の価値になると確信しました。
お客様にとっては、何でも相談できる安心感。
社員にとっては、幅広い経験を積み、自ら考え、お客様の人生と向き合う成長の機会。
そして会社にとっては、「人の成長そのものを競争力にする」という企業文化です。
大手と同じ土俵で戦うのではなく、自分たちらしい価値を磨き続ける。
その答えが、「担当者一人ひとりの価値を高めること」でした。
「人は会社の資産である。」
この考え方は、猪爪常務の変わることのない経営思想です。
「1人ワンストップサービス」は、その思想を形にした取り組みであり、これからもおうち LABOの人づくりの原点として受け継がれていきます。
会社の規模ではなく、人の価値で選ばれる会社へ。
その歩みは、おうち LABOが人を育て、お客様との信頼を築いてきた記録でもあります。
