これが建築士の設計だ!

アナログから始まる、住まいづくりの本質
デジタル技術が進化し、設計の世界も大きく変わりました。
3DパースやCG、オンライン打ち合わせ、VRによる空間体験。便利で効率的なツールが次々と生まれています。
しかし、建築設計のスタート地点は、今も昔も変わりません。それは、手書きのラフプランから始まります。鉛筆と紙を前に、お客様の想いと向き合う時間。そこにこそ、設計の本質があります。
今回は、株式会社おうちLABOが誇る一級建築士 鈴木専務より建築士がどのようなプロセスを経て一つの住まいを形にしていくのか、その舞台裏を紹介します。

1.お客様の想いを引き出す「ヒアリング」
設計の第一歩は、お客様のご要望を丁寧にヒアリングすることです。
・どんな暮らしをしたいのか
・家族との時間をどう過ごしたいのか
・好きなテイストや素材感は何か
・将来のライフプランはどう描いているのか
間取りの話だけではありません。
「どんな人生を、この家で送りたいのか」まで掘り下げていきます。
設計士は単なる図面作成者ではなく、暮らしの翻訳者でもあります。
言葉になっていない想いを引き出し、空間という形に変換していく。そのための対話が、すべての出発点です。
2.現地確認 ― 土地の声を聞く
ヒアリングと同じくらい重要なのが、現地確認です。
敷地に立ち、光の入り方を確認します。
朝と夕方では日差しの角度が異なります。
隣家の窓の位置や視線の抜け方、道路との高低差、風の通り道、周囲の景観――。
図面だけでは読み取れない情報が、現地には数多く存在します。

日当たり、風通し、周囲の景観を見て、家が建つ情景をイメージします。
「この土地は、どこに窓を設ければ一番気持ちが良いか」
「この景色は活かすべきか、遮るべきか」
土地の個性を読み取り、その土地に最適な家を考える。
それが建築士の大切な役割です。
3.役所調査 ― 法律との対話
設計には、夢や理想だけでなく、法律という現実も伴います。
用途地域、建ぺい率、容積率、高さ制限、斜線制限、道路種別、各種条例……。
数多くの法規制を確認しながら、計画が実現可能かを精査していきます。
法律を守ることは当然ですが、その枠の中で最大限の価値を生み出すことが設計士の腕の見せ所です。
制限があるからこそ工夫が生まれる。
そのバランスをとりながら、実現可能なプランへと落とし込んでいきます。
4.ラフプランニング ― 手書きから生まれる創造
ここでようやく、ラフプランニングに入ります。
最初はアナログな手書きスケッチ。
頭の中にあるイメージを、線で描き出していきます。

手書きだからこそ、自由度が高い。
消しながら、描き足しながら、試行錯誤を重ねます。
デジタルではなく、あえて紙に向かう時間。
そこには、設計士の思考の軌跡が刻まれています。
5.CG作成 ― 精度を高め、イメージを共有する
ラフプランが固まると、提出用の図面へと入力し、CGパースを作成します。
立体化することで、空間の広がりや高さのバランス、光の入り方がより明確になります。
お客様にとっても、完成後のイメージが具体的になります。
ラフスケッチという“想いの種”を、
精度の高い資料へと昇華させる工程です。
アナログとデジタルは対立するものではなく、補完し合う存在。
両方を活かすことで、より良い提案が可能になります。
6.ご提案 ― 想いを言葉で伝える
図面とCGが完成すると、いよいよお客様へのご提案です。
なぜこの間取りなのか。
なぜこの窓の位置なのか。
なぜこの動線なのか。
設計の意図を、丁寧に説明します。
設計は、描くだけでは完成しません。
伝えてこそ、意味を持つのです。
7.実物で確かめる ― モデルルームとサンプル
図面やCGだけでなく、実際のモデルルームや完成事例、建材を用いて具体的に確認していきます。

床材の質感、壁の色味、建具の手触り。
五感で確かめることで、より納得感のある住まいづくりが進みます。
理想を語るだけでなく、現実の素材と向き合いながら最終形を決定していきます。
建築士という仕事の魅力と責任
建築士は、多くの法律を遵守しながら、
その土地にとって最適で、かつお客様のこだわりを最大限に反映した家を設計します。
簡単な仕事ではありません。
責任も大きく、常に学び続ける姿勢が求められます。
しかしその分、完成したときの達成感は格別です。
一つの住まいが生まれ、そこに新しい暮らしが始まる。
その原点に関われることは、何にも代えがたい喜びです。
未来の建築士へ
近年、建築士の数は年々減少傾向にあると言われています。
しかし、住まいづくりの価値がなくなることはありません。
人が暮らす限り、建築は必要です。
そして、その中心にいるのが建築士です。
一人でも多くの若者が、この仕事に魅力を感じ、
建築士を志してくれることを心から願っています。
アナログから始まる一枚のスケッチ。
そこから未来の暮らしが生まれる。
それが、建築士の設計(しごと)です。
